40周年リレーエッセイ VOL.2(四国部会)

四国部会
社協活動とともにの学会であった
1973(昭和48)年4月1日に徳島県社協に入局し、いきなり市町村社協の法制化運動に深くかかわり、県下の市町村行政・市町村社協・各種関係団体・政治活動家等へ飛び込み市町村社協法制化のための署名活動とその事務作業の毎日でありました。「社協」とは何か?新人として理解のないまま市町村を訪問すると「社共」なのか?「社教」なのか?また「社強」なのか?「写経」なのか?とよく質問されたものでありました。そして市町村行政を訪問する中で数か所の町村が厚生行政担当者のデスク(机)の一つがそこの町の社協でありました。このような現状から市町村社協とは何を柱として業務をしているのか?社会福祉事業法(1951-昭和26年)や社協基本要項(1962-昭和37年)を読み解きながら「共同募金と地域福祉計画」という言葉に出会うとともに、青年団・子ども会・公民館活動等から住民による組織活動やまちづくり活動とは何か、自問自答しながら地域福祉活動に入り始めました。
1979(昭和54)年には社協職員を対象とした全社協主催の「地域福祉活動指導員養成課程(1週間合宿研修―12年間継続)」2期生として受講し、地域福祉とは何か?全国の社協職員と共に議論を深めたことは忘れることができません。この養成課程12年間こそ全国の社協職員が地域福祉実践家としての力量が培われ成長したのではないかと思いました。そして全国の社協職員に対し、そこで指導された研究者の熱い呼びかけにより地域福祉実践者と研究者が双方向型で研究が深められる学会として1987(昭和62)年「日本地域福祉学会」が設立され、私は即入会したものでありました。
1984(昭和58)年に「地域福祉計画~理論と方法~」(全社協)が出版され、それを基本に徳島県では1986(昭和61)年「地域福祉推進計画」(公私協働型)」を5年間で県下全域(50市町村)に策定する県補助事業(補助費50万円-1/2 県・1/2市町村-)がスタートしました。それは「地域福祉推進マニュアル(県行政)」・「地域福祉推進計画指針(県社協)」を作成し、県下市町村を県行政と県社協が一体となり指導支援したものでありました。その「地域福祉推進計画」の実践報告を第4回日本地域福祉学会(1990-平成2年・会場・日本社会事業大学)「地域福祉計画の視点と課題」研究部会で当時徳島県社協の丸川悦司常務理事から紹介されました。私は地域福祉推進計画策定作業に深く携わった者として徳島方式の「地域福祉推進計画(公私協働型)」は学会活動とともに思い出深いものでありました。
本学会がスタートして40年を迎え、地域福祉理論と実践の研究を今日まで発展させ、時代と共に研究者・活動実践家の人材育成に貢献してきたことについて、現在まで長く指導されてきた研究者や関係役員に深く感謝申し上げ、これからも日本の未来に向けた地域福祉推進のため本学会の益々の発展を祈念しております。
2017年に「四国発!ふろしき型地域福祉の実践~問題解決を目指した地域づくりとコミュニティソーシャルワーク~」を大会テーマとして松山市にある松山大学で開催した日本地域福祉学会第31回大会の実行委員会を四国ブロック担当理事として担当しました。実行委員は四国4県の学会員というよりは松山大学中谷陽明実行委員長と松原日出子委員以外のメンバーは2003年から始めた四国地域福祉実践セミナーのメンバーでした。
四国地域福祉実践セミナーとは香川県琴平町社協が厚生省補助事業(当時)「ふれあいのまちづくり事業」に取組むにあたり大橋謙策先生のご指導を受ける中で地域住民さん等を対象に1997年から毎年開催していた「こんぴら地域福祉セミナー」について第6回終了後のセミナー会場で徳島県海部町社協鈴木淳雄局長氏の申し出により、第7回セミナーを徳島県海部町で開催することとなった。住民さんたちにとっても恒例のセミナーでもあり、簡単ではありません開催する会場が変更するという事で二つの名前で開催を続けました。
日本地域福祉学会からの地域福祉実践助成と学会員である四国の研究者が次第に顔をそろえてくださいました。そして、高知県葉山村、愛媛県大洲市と四国四県を巡りながら続いているものです。
今年の7月高知県黒潮町で第22回四国地域福祉実践セミナーが開催され、ハイブリッドにより全国の地域福祉関係者に参加していただけたようです。
2017年の31回大会の頃はWEBはありません。開催に向けた準備委員会はほぼ毎月松山大学で実施したので徳島、高知、香川からのメンバーは毎回、対面での打ち合わせにかけつけました。大会の四国企画シンポジウムは「四国地域福祉実践セミナー(こんぴら地域福祉セミナー)の軌跡~課題先進地四国発、これからの地域福祉実践の新たな展開に向けて~」でした。地域住民さんの福祉への理解と参加を促すことから始まったこのセミナーは四国を巡る中で、地域特性や多様性を感じながらそこにある住民活動を見つけてお互いにその実践を学びあうものになりました。
四国は急激な人口減少社会であり過疎高齢化・少子化の中で住民の生活を支えるしくみづくりへの取り組みは、想定される大規模災害による影響を抜きにすることはできない。近年の実践報告にも住民や中・高生の防災活動がテーマとなってきました。住民組織や団体、NPO法人、社会福祉法人等とともにこれからの地域福祉実践の新たな展開が問われています。
31回大会でも「地域福祉575」を実施しました。四国地域福祉実践セミナーの交流会では「こんぴら舟々」に「阿波踊り」で宴を盛り上げ、「Satin Doll」で語り、俳句をお土産につながってきました。これからの新しい局面に向け、発想を豊かに取り組んでいくことが求められています。
実践と研究の往還。これからの地域共生社会の実現、四国型地域福祉の推進により一人ひとりの尊厳を守れる豊かな地域社会づくりをめざしましょう。

